量子暗号通貨シミュレーションプロジェクト-そこにあるものは?

By Carolyn Mathas


 Multiverse Computingは、カナダ銀行との概念実証プロジェクトを完了した。量子コンピューティングを利用して、非金融企業の決済手段としての暗号通貨をシミュレーションするものだ。


 同社CTOのSam Mugel氏は、「実証研究は、2018年、2019年、2020年のDeloitte Global Blockchain Surveyを用いて校正されました」と言っている。参加したのは14カ国・地域の1,488人のシニアエグゼクティブと実務者。調査から2つの質問による回答に焦点が当たられた。


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 取り組みでは、ネットワークの動的な形成のシミュレーションを行った。ネットワークの状態に応じて、企業は新たな接続(この場合は暗号による支払い経路)を形成したり、切断したりすることができる。そして、どのプレイヤーもこれ以上接続を形成したり切断したりできないようなネットワークの安定状態や、ネットワークの状態が閉じた状態の間で振動する安定サイクルを探し出す。これによりメンバーは、将来的に、どのようなネットワーク状態になる可能性があるかを判断した。


 D-Waveのアニーリング量子コンピュータを使用したシミュレーションでは、8~10人規模の金融ネットワークを対象にでき、ネットワーク構成は最大で290通りにもなった。量子アニーリングは、量子系の基底状態を見つけるために設計されており、組合せ最適化問題に直接対応することができる。


 その結果、現在わかっていることをもとに、複雑なシステムを、確実かつ正確にモデル化できるアルゴリズムをカナダ銀行と共同で開発したのである。この研究により、特定の業界では、デジタル資産が、従来の銀行送金や現金類似品と決済市場を共有することになることが示された。


 Mugel氏によれば、非効率性を伴う安定したネットワーク構成が見られるのは興味深いことで、プレイヤーはつながりを形成することも壊すこともできない。しかし、一部のプレイヤーが妥協する必要があるため、すべてのプレイヤーが満足するわけではないのだという。


 プレスリリースの原文は、Multiverse ComputingのWebサイトに掲載されている。



(翻訳:Hideki Hayashi)

提供:Quantum Computing Report


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