IBM、従量課金モデルを追加しQiskitランタイムを拡張


IBM Quantum Pricing Models. Credit: IBM


 IBMが、量子クラウドサービスに新しい従量課金モデルを採用した。これまで無料でアクセスできるFree層か、IBM Q Networkのメンバーで、IBMのすべての量子プロセッサーに高額な契約料金でアクセスできるPremium層の2つにに分かれていた。


 今回、「Pay-As-You-Go」と呼ばれる中間層が導入され、より高度な27量子ビット・プロセッサを2つ利用できるようになった。この2つのプロセッサは、コードネーム「Falcon R5」と呼ばれ、IBMのクラウドを通じて、Qiskit Runtimeを秒あたり1.60ドルでアクセスすることができる。Qiskit Runtime秒には、量子計算時間だけでなく、古典的な前処理・後処理の時間(ニアタイム)も含まている。量子コンピュータのキューで結果を待っている時間は、古典的な処理時間から除外されるという。


 指摘来ておきたいことがある。有料モデルには現在、IBM の 65 または 127 qubit プロセッサへのアクセスは含まれていない。しかし、27 qubit プロセッサは現在、より高い量子ボリューム評価を持っており、その観点から、多くの量子プログラムに対して、最も良いパフォーマンスを発揮することである。そしてIBMは、利用可能な量子プロセッサー群を変更する際に、将来的に従量制モデル用のプロセッサー・ラインアップを更新する予定であることを明らかにしている。


 従量課金モデルを利用するターゲット顧客は、研究者やスタートアップ企業など、高価な年間契約には踏み切れないながら量子技術に関し洗練されたユーザーだ。プレミアム価格モデルは、あらかじめ大規模な使用要件を持ち、3年契約で年間最低50万ドルを支払う余裕のある大企業向けであることは興味深い点だろう。オープンプランは、量子コンピュータのプログラミングを学び始めた学生や、これから試してみたいという人を対象にしている。


 Amazon BraketにもPay-As-You-Goの価格モデルがあるが、IBMの考え方とは異なり、Per Task、Per Shotベースなので、比較することはできないだろう。


 IBMの2つ目の発表は、Qiskit Runtimeシステムの拡張で、システムの使用を簡素化し管理されたパフォーマンスを可能にする、最初の2つの新しいプリミティブを追加したことである。Qiskit Runtimeは、古典-量子プログラムのコンテナ型実行環境で、量子と古典のリソースをより緊密に統合することで、プログラム全体の実行時間を大幅な向上を可能とした。


 最初の新プリミティブは「Sampler」と呼ばれ、量子回路の出力からサンプリングすることで、その出力における準確率分布全体を推定することが可能だ。これは、誤差の軽減や回路の切断などの測定に利用できる可能性がある。「Estimator」は、回路の出力における観測値の期待値を計算する。エンタングルメント・フォージング、ゼロノイズ外挿、確率的エラーキャンセルなどに利用できる可能性があるものだ。


 IBMは、この2つの発表の詳細について、ブログ記事を掲載している。



(翻訳:Hideki Hayashi)

提供:Quantum Computing Report

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