中国はすでに量子技術にどれだけの資金を投資しているのか?

By Amara Graps


 ここまで中国政府は、量子技術にどれだけの投資をしてきているのでしょうか?検証可能性と公開情報を基に、最良の推定値を示してみたいと思います。


実践的戦略:

1) A China quantum expert foundation(中国量子専門家財団)

2) top-down : China policy interests (中国の政策的利益)

3) bottom up: implementations.(推進)


 基本情報としては、


1)内部からの視点:中国の量子作業者による報告。"量子情報科学" 張強、FeihuXu、LiLi、Nai-Le Liu、Jian-Wei Pan著、2019年発行

2)客観的な視点:"Quantum Hegemony" Elsa B. Kania & John K. Costello著、2018年出版。


 これらを基本として、私は、特に近年は情報整理のギャップを埋めてきました。



量子研究・技術プロジェクト:


 まず中国における量子技術プロジェクトの対象は、量子情報研究、量子制御、量子センシング、量子材料、量子ドット、量子暗号、量子チップに加え、積極的に進めている量子通信が含まれてます。



量子通信:


 中国の量子通信技術は、量子セキュア通信ネットワーク(地域の「Trunks」)と量子衛星プロジェクト(愛称:MiciusまたはMozi(中国語:墨子))が最もよく知られています。


China’s first integrated quantum communication network (January 2021). Credit: University of Science and Technology of China.



量子研究:


 その他、多くの量子技術分野では、中国の国家自然科学基金、中国科学院(CAS)が資金を提供しています。また、CASと中国科学技術大学は、中国全土のidsnstitutesの支援を受け、世界最大の量子研究施設となることを目指して、新しい量子情報科学国家研究所を建設していますが、現在、1600人の建設関係者が働いていると言われています。


Research Building Number 1 of the CAS Center for Excellence on Quantum Information and Quantum Physics in Hefei High-tech Zone.


 中国のソーシャルメディアでは、「CAS Center for Excellence on Quantum Information and Quantum Physics」と呼ばれていて、この写真は、2021年3月に合肥市で完成間近の第1研究棟の様子。この建物は奇妙な形に見えるでしょうか?アルバート・アインシュタインの光量子方程式E=hvに敬意を表しているといいます。



より広範な目的を持つ量子組織の追加資金調達:


 量子情報・量子科学技術イノベーション研究所 量子情報・量子科学技術イノベーション研究所(Quantum Innovation Research Institute)は、上記の国立研究所を支援すると同時に、合肥市とその周辺における量子産業の発展を目的としています。



これまでの投資額:


 2018年までの投資総額は、少なくとも50億ドル(6,400億円)、量子衛星を含む通信ネットワークで100億ドルに達した可能性があります。さらに、量子情報科学研究所と量子イノベーション研究所のために、2022年頃までに150億ドル(約2兆円弱)を投資しました。


 こう考えてみると、現在の「5カ年計画」(FYP)の下で、民間投資や資金調達を含めなければ、1980年代半ばから2022年までに、量子技術に対して少なくとも250億ドル(約3.2兆円)の中国政府から投資があったと推定できます。



中国政府はなぜ量子技術に世界最高額の投資をするのか?


中国の量子技術政策への関心:


 KaniaとCostelloは、量子技術は、米国の軍事力の主要な柱を "相殺 "し、重要な技術的優位性を損なう可能性をもっていると指摘しました。


 国際的なセキュリティ専門家が、NSAの元契約者 Edward Snowdenのリークを読み、米国の諜報能力と中国での活動の範囲を明らかにしたのは、2013年のことでした。潘建偉氏によると、この出来事は中国の国家的なサイバーセキュリティ活動を大きく向上させ、彼の仕事の緊急性を高めたといいます。


 カナダ情報局(Canadian Security Intelligence Service)によると、中国は量子暗号の研究開発において明らかにリーダーとして台頭し、そこに潜在する敵の信号情報およびサイバースパイ能力から、軍や政府の機密通信を保護できる国家量子通信インフラを構築しています。今後、中国の新しい量子情報科学国家研究所が完成すれば、中国軍にとって「直ちに役立つ」研究に従事するだろうと言われています。


  • 科学技術省(MOST)

  • 工業・情報技術省(MIIT)

  • 国家発展改革委員会 (NDRC)

  • 中国国家自然科学基金(NSFC)-MOSTが管理

  • 中国科学院 (CAS)

  • 財政部 (MOF)

  • 国防省(MOD)

  • 教育部(MOE)

  • 中国工商銀行

  • 中国建設銀行

  • 中国インターネット投資基金

  • 中国改革基金

  • すべての省・市政府


 第13次「5カ年計画」(2016~2020年)の初期に、MOSTは「量子制御と量子情報」国家重点研究開発(R&D)プロジェクト、1億ドル以上の投資を開始し、中国の量子開発は再び加速されました(Snowden効果レベルで)。MOSTは、中国の省庁の中では珍しく予算をホームページで透明化しているので、その年間予算が800億ドル(約10兆円)規模であることは注目に値するでしょう。


 2020年、最終予算の45ページにある「目標表」は、特に興味をひかれる部分です。この国では、すべてを計画し文書化する優秀な能力があるため、管理者が従業員の論文や特許を追跡し、中国の目標を達成するためのポイントシステムが出来上がっているのです。そのターゲット表に書かれているのは。「外国の特許封鎖を突破し、技術独占を打破するための方法支援を提供する。」この一文は、この国の大量の量子特許の原動力の一つでしょう。



(翻訳:Hideki Hayashi)

提供:Quantum Computing Report