コラム:量子業界における企業合併



by Quantum Computing Report



ここ数年、量子業界で起きた重要な企業合併は、下記に挙げた7つだと考えている。


  • Keysight / Signadyne (2016)

  • Rigetti / QxBranch (2019)

  • Keysight / Labber Quantum (2020)

  • Keysight / Quantum Benchmark (2021)

  • Honeywell Quantum Systems / Cambridge Quantum (2021)

  • Rohde & Schwarz / Zurich Instruments (2021)

  • Pasqal / Qu&Co (2022)


このような合併の利点には、財務の安定化、規模の経済、事業展開や顧客の増加、新製品のライン開発、市場シェアの拡大、ハード・ソフトの技術を統合することによる性能向上、また、特定の市場向けに性能向上を実現するための次世代ハードウェアおよびソフトウェアの共同設計などが考えられる。


デメリットも多くあるだろう。企業文化の違いによる衝突、不服を持った社員の離職、合併が引き起こすさらなる混乱で既存ビジネスの実行能力を損なう、または合併相手と競合する組織とのパートナーシップは維持できなくなるかもしれない。


古典的なコンピュータビジネスでは、これまで70年もの間に、何百何千というM&Aがなされてきた。そして、上記のような長所と短所が取引の成否を決める要因となってきたのだ。しかしながら、これまでは歴史的に重要であった要因が、量子業界の現在は必ずしもそうではないだろうと思われるものもある。顕著なのはコスト削減と効率化のための合併に関してだ。買収後に新会社が、余計な組織を整理し、部門を閉鎖し、製品の生産を終了させる、さらには従業員を解雇するなど、これらはよくあることだ。この点に関しては、業界は新しく、今のところ結果に対して大きな要因になるとは思えない。


私たちは、このペースが加速していき、今後数年間はこのような合併が増えていくだろうと考えている。産業が成熟してくるとM&Aは日常的なものとなるが、量子産業もまた同じ道を歩むだろう。そして、合併は時にとても大きな危険をはらんでいる。過去には素晴らしい結果を生んだ買収(例:Google/YouTube)もあったが、大きな失敗(例:HP/Autonomy)も数多くあったのだ。どのような合併が起こり、それらが成功するか失敗に終わるのかを予測することは困難だが、いずれにせよ今後も多くの案件が進み、10年後の業界全体の構造は今とは大きく異なった世界になっていくのは間違いないであろう。



(翻訳:Hideki Hayashi)

提供:Quantum Computing Report

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