コロラド州のスタートアップ Maybell社が希釈冷凍機を新発売

[ Picture of the Maybell Icebox. Credit: Maybell ]
超伝導やスピン量子ビットのプロセッサーを作るために、重要なコンポーネントの1つが、チップをミリケルビンの温度まで冷やす希釈冷凍機である。量子ビットの動作の忠実度を損なっていまう環境熱ノイズを低減するためだ。コロラド州のスタートアップ企業Maybell 社(会社名はコロラド州で最も寒い町の名前からとった)は、「Maybell Icebox」という最初の製品を発表した。
量子コンピュータに特化し、一から考え抜かれた設計になっているという。この冷凍機には、量子ハードウェアのエンジニアや研究者が、歓迎するであろう幾つかの機能が搭載されている。まず、10分の1の物理的スペースで、3倍の量子ビットをサポートすることが示されている。19インチのサーバーラック2台分のスペースで、顧客専用の電子機器を設置できるスペースも確保。この他、同社が述べている特徴は、4,500本以上のマイクロ波信号を冷凍庫内に運ぶことができる高密度なスーパーフレックスケーブル、ユーザーがサンプル交換のために本体を分解する必要がないサンプル交換用ドア、チャンバーリフト機構の内蔵、ソフトウェアの改善、低ノイズ、高い信頼性など多数。
また、この冷凍機は Made in USAであり、必要な部品は国内と友好的な供給源を優先し、強固なサプライチェーンの確立に取り組んでいるという。Maybellは、ベンチャーキャピタル、米国政府機関DARPA(国防高等研究計画局)やNSIC(国家安全保障イノベーションキャピタル)からの契約、顧客からのプレオーダーなどで開発資金を調達してきた。
Maybellは現在、本製品の受注を開始しており、2022年末から2023年初頭の配送を予定している。Maybellと希釈冷凍機「Icebox」に関する詳しい情報は、プレスリリースから、およびMaybellのWebサイト内の本機の製品ページで確認できる。
※参考
◆Maybell社
https://www.maybellquantum.com/
◆DARPA(国防高等研究計画局)
◆NSIC(国家安全保障イノベーションキャピタル)
◆Maybellのプレスリリース
◆製品ページ
https://www.maybellquantum.com/icebox
(翻訳:Hideki Hayashi)