バリウムは量子状態の準備と測定で邪魔物と戦う (SPAM)
IonQとQuantinuumの両社は、SPAMと呼ばれる量子ビットの品質指標において、過去最高となる記録を発表した。
この測定は、量子コンピュータが、どれだけ正確に量子ビットを初期状態に設定できるか、そしてその結果を測定できたのかを求めるものだ。これは、量子計算の総合的な精度を決定するいくつかの重要な尺度の一つである。その他の指標としては、1量子ビットのゲート忠実度や2量子ビットのゲート忠実度が重要なものだ。誤り訂正を効果的に実施するためには、これらの指標をすべて99.9%の忠実度をはるかに超えるレベルまで改善する必要がある。
今回の発表では、IonQが、SPAM忠実度を従来の99.5%から99.96%に達成し、約13倍のエラー低減を実現したことを明らかにした(例:1万回の操作で50回発生していたエラーが、1万回で4回に減少)。
そして、その数時間後、Quantinuumは、2021年7月のニュースリリースで引用した99.70%から改善し、99.9904%の水準を達成したと発表したのだ。ちなみに、私たちが「Qubit Quality」のページで追跡している超伝導ベースのマシンにおける測定誤差のベスト値は99.86%である。
いずれも、イオンにバリウム元素を使用する次世代機で得られた結果であり、両社が、現在ユーザー向けに提供している量産機で使用しているイッテルビウムから切り替えた結果だ。Quantinuumは、バリウムの137Ba+アイソタイプを使用しているが、IonQは具体的にどのアイソタイプを使用しているのか明記していない。
これらの発表の詳細については、今回の成果に関するIonQのニュースリリース、また「Deep Dive: State Preparation & Measurement with Barium Qubits 」と題したブログ記事を参照してほしい。また、Quantinuumのプレスリリースは、こちらのWebサイトに掲載されており、その結果を掲載したテクニカルプレプリントペーパーは、下記のWebサイトに掲載されている。
※参考
◆IonQのニュースリリース
◆IonQのブログ記事
https://ionq.com/posts/march-03-2022-deep-dive-barium-spam
◆Quantinuumのプレスリリース
◆テクニカルプレプリントペーパー
(翻訳:Hideki Hayashi)