コラム:2022年の展望 量子ハードウェア ① 概要


By David Shaw, 「Fact Based Insight」


この記事の原文は、「Fact Based Insight」のウェブサイトからで、許可を得て再掲載しています。原文はこちらから。


世界中で大口投資が続き、量子技術に関連するユニコーン企業(非上場で評価額が10億ドル以上)が増えている。中国のフォトニックや超伝導ビットの躍進が注目をあつめ、イオントラップは論理量子ビットの実証で輝いた。さて、実用的な量子コンピュータを作る競争に勝つのは誰なのか?

私たちが量子ハードウェアを評価するにはどうすればよいのか。様々な企業が直面するチャンスと課題をみていこう。


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-FTQC(Fault Tolerant Quantum Computer)
初期フォールトトレラント量子コンピュータの新基準は、100万個の物理量子ビットにsurface codeなどの誤り訂正を実行し、おそらく1,000個の論理量子ビットを提供するデバイスだろう。このためには、2Qゲートの忠実度が99.9%以上であり、量子ビットのコヒーレンス寿命が許容できる長さがなければいけない。開発企業は、自社の技術を抜本的にスケールアップ可能であることを示す必要があるだろう。具体的な課題は、許容範囲の明示、過剰な制御配線、レーザーアライメントの複雑さ、クロストークやキャリブレーション、熱耐性や冷却の性能、制御や誤り訂正のための古典的レイテンシーなど、プラットフォームによって異なるがそれぞれ簡単なことではない。
多くのアプローチでは、汎用的なNISQをサポートするために「magic states」を作ろうとしている(一部のプレイヤーは、より控えめで、ノイズの少ない、中間スケールのデバイスで早期達成できるだろうと強調している)。これらのデバイスは、誤り訂正に必要となるオーバーヘッドを避ける代わりに、物理的な各量子ビットゲートがもたらす誤差が増えないように、少ないステップ数(浅い回路)で計算が終わることを目指している。「Fact Based Insight」では、ゲート型量子コンピュータが、実用的なアプリケーションで幅広い量子的優位性を獲得するためには、2Qの忠実度は99.99%以上であること、問題に特化した量子ビットの接続性強化、古典的な処理との低レイテンシーな統合などが必要だと考えている。

-FQQC(Few Qubit Quantum Computer)
アプリケーションによっては、「わずかなビット数」しか必要としないことも重要な点だ。初期の例としては、量子コンピューティング、サイバーセキュリティ、量子通信などでよく見られている。このまま進めば、量子インターネット、量子IoTへと発展することが期待されている。このトレードオフは、最終的に異なるプラットフォームで適合する可能性がある。より高く導入しやすい温度で、ある程度のコヒーレンス時間を提供できるならそれが、有用なアドバンテージとなるかもしれない。
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スケールアップは難しい。それでも多くのハードウェアメーカーにとっては、マルチ量子ビット・デバイスの世代が進むたびに忠実度が向上していることを好感しているだろう。とは言え、彼らは理想的な2Qラボベースのデバイスを追いかけている現状だ。率直に言えば、私たちが今日みている状況は、まったく物足りない。


ここ数年、ゲート型量子コンピュータのベンチマーク(非公式なエントリレベル)は、99%以上の2Qゲートの忠実度を実証することだった。同時に実用的な観点からは、最低基準が99.9%であることを認識しなければいけなかった(もしくは、責任者はこの基準が適用されないなら、その理由を細かく提出しなければいけない)。つまり2021年、企業は、この両方のアプローチを睨んでいた。


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ロードマップの概要 - グレー囲みの項目は、Fact Based Insightが出版時点で実証を確認していないものを表す。
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②へ続く



(翻訳:Hideki Hayashi)

提供:Quantum Computing Report